「だから、あんたはもうちょっと副部長ってものの責任を……」
雅の毎度の説教を聞き流しながら、自転車を駐輪場まで押していく。
甚だ面倒くさいのだが、学校内での運転は危ないという雅様のありがたいご注進により乗っていくのは却下。
じゃあ門を閉めるのは危なくないのかと小一時間ほど問い詰めたくなったが、私が雅に口で買った試しはないので素直に従うしかない。
というか、あんたも練習に行きなさいよ。
自転車を停め、そのまま部室へ。
荷物を置いて、すぐにアップを始める。
朝練がある日は基本的にジャージで登校するため、着替える必要はないのだ。決して、制服からジャージに着替える時間がなかったり、そもそも制服を着る方が時間がかかったりするからではない。
私が柔軟をやってる横から、ヒュンヒュンと風を切る音がする。
「雅、危ないからもうちょっと遠くでやってくれない?というか、砂利が飛んできて地味に痛い」
「気にしなくていいわよ」
それはあんたが言うセリフじゃないだろ。
既にアップの終わっている雅は、私から30㎝と離れていない距離で縄跳びをしている。
縄が地面に当たるたび、こう、砂がピシピシと飛んでくるのだ。
しかも、柔軟のために地べたに座り込んでいたりするもんだから、顔なんかにも容赦なく当たる。
結局、柔軟が終わるまで、雅は私の横から離れることはなかった。コノヤロウめ。
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コメント
いつも楽しく拝見してます!
まだ導入部分だと思いますが、自然な文章で読みやすいので期待しています(>_<)
posted by 綾波at 2008/03/28 21:16 [ コメントを修正する ]