最上階のトイレ、五つある個室のうちの奥から二つ目が、私の指定席だ。
扉を閉めて準備完了。
この病院の特性上、トイレは病室にそれぞれ備え付けられている。
必然、病室以外のトイレを使うのは職員か、外来の人間に限られる。
患者も暗黙の了解で、ここには近づかないようにしている。
だから、ここで私が泣いていても、母に気付かれることはない。
ダメだ、泣くなと意識をするたび、ポロポロと涙が零れる。
弱っている母を見るのがつらい。母に笑いかけらるのがつらい。母が元気だった頃を思い出すのがつらい。
何も出来ず、母に会うたびに泣いてしまう自分に腹が立つ。
やるせなさと無力感を無理矢理体から押し出すように、この世の理不尽を非難するように。
私はここで泣き続けるのだ。
扉を閉めて準備完了。
この病院の特性上、トイレは病室にそれぞれ備え付けられている。
必然、病室以外のトイレを使うのは職員か、外来の人間に限られる。
患者も暗黙の了解で、ここには近づかないようにしている。
だから、ここで私が泣いていても、母に気付かれることはない。
ダメだ、泣くなと意識をするたび、ポロポロと涙が零れる。
弱っている母を見るのがつらい。母に笑いかけらるのがつらい。母が元気だった頃を思い出すのがつらい。
何も出来ず、母に会うたびに泣いてしまう自分に腹が立つ。
やるせなさと無力感を無理矢理体から押し出すように、この世の理不尽を非難するように。
私はここで泣き続けるのだ。
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こうして更新をしているわけですが。
しかしネタがない。でもなんとかするぜよ。
しかしネタがない。でもなんとかするぜよ。
「あたしさー、昔ミートソースって怖かったのよ」
「は?」
正面でカリカリと鉛筆を動かしていた菜穂が、急にそんなことを言い出した。
「だって、肉のソースだよ?どんなスプラッタた食べ物だって話よ」
「あんたって昔はすさんでたのね」
適当に聞き流しながら教科書の英文を訳していく。えーと、ケンは寿司屋に着くやいなや、ミートソースを注文した……。
どう見ても日本人なケンが、寿司屋でさも当然のようにミートソースを注文している光景は、遠まわしなゆとり教育の批判なのだろうか。
寿司屋の大将、気持ちはわかるからその手に握りこんだ塩を仕舞ってください。
「そもそも赤いしさー。そのせいで、あたし血はずっとトマト味だと思ってたもん」
「まぁ、確かめる機会なんて滅多にないしね。でもそれじゃ、トマトジュースが血のジュースになっちゃうじゃない」
「そう!だからトマトジュースも怖かったんだよねー」
そう言って、菜穂は自分の身体を抱きしめながら震えた。
うん、これはひどい。
「なんでもいいから、口だけじゃなくて頭と手も動かして頂戴。じゃないと試験勉強にならないわよ」
今、私は菜穂の家で試験勉強をしている。私は。
私とその友人である菜穂は、試験があるときはこうして一緒に勉強をしながら教えあったりしている。
が、肝心の菜穂はというと、少し進めてはこうして意味もない話をしだしたり、酷いときは急に「甘いものが欲しい!」と叫んでコンビニに脱走したりする。
口にシュークリームを銜えながらそんなこと言われても、どこから突っ込んだらいいのかわからない。
なので、勉強を教えあうというよりは、菜穂の集中力を切らさないためのお目付け役としての役割の方が大きい。
「あーもー疲れたー。今日はこれくらいにしとかない?」
「その結果が前回の三教科赤点でしょうが」
「あたしは過去を振り返らない女……」
わざとらしく机に肘をつき、哀愁を漂わせながら遠くを見つめる菜穂。
妙に様になっているのが逆にうっとうしい。
「ということは、数学、生物、英語に続いて、歴史まで赤点を取る気なのね」
「ぐっ……嫌なこと思い出させないでよね理緒」
「思い出した方が勉強に身が入るってものでしょう?」
はいはいわかりましたよー、とブーたれながら和訳していく作業に戻る理緒。
それを見届け、私もまた和訳の戻ることにした。あ、ケンが店を追い出された。
「は?」
正面でカリカリと鉛筆を動かしていた菜穂が、急にそんなことを言い出した。
「だって、肉のソースだよ?どんなスプラッタた食べ物だって話よ」
「あんたって昔はすさんでたのね」
適当に聞き流しながら教科書の英文を訳していく。えーと、ケンは寿司屋に着くやいなや、ミートソースを注文した……。
どう見ても日本人なケンが、寿司屋でさも当然のようにミートソースを注文している光景は、遠まわしなゆとり教育の批判なのだろうか。
寿司屋の大将、気持ちはわかるからその手に握りこんだ塩を仕舞ってください。
「そもそも赤いしさー。そのせいで、あたし血はずっとトマト味だと思ってたもん」
「まぁ、確かめる機会なんて滅多にないしね。でもそれじゃ、トマトジュースが血のジュースになっちゃうじゃない」
「そう!だからトマトジュースも怖かったんだよねー」
そう言って、菜穂は自分の身体を抱きしめながら震えた。
うん、これはひどい。
「なんでもいいから、口だけじゃなくて頭と手も動かして頂戴。じゃないと試験勉強にならないわよ」
今、私は菜穂の家で試験勉強をしている。私は。
私とその友人である菜穂は、試験があるときはこうして一緒に勉強をしながら教えあったりしている。
が、肝心の菜穂はというと、少し進めてはこうして意味もない話をしだしたり、酷いときは急に「甘いものが欲しい!」と叫んでコンビニに脱走したりする。
口にシュークリームを銜えながらそんなこと言われても、どこから突っ込んだらいいのかわからない。
なので、勉強を教えあうというよりは、菜穂の集中力を切らさないためのお目付け役としての役割の方が大きい。
「あーもー疲れたー。今日はこれくらいにしとかない?」
「その結果が前回の三教科赤点でしょうが」
「あたしは過去を振り返らない女……」
わざとらしく机に肘をつき、哀愁を漂わせながら遠くを見つめる菜穂。
妙に様になっているのが逆にうっとうしい。
「ということは、数学、生物、英語に続いて、歴史まで赤点を取る気なのね」
「ぐっ……嫌なこと思い出させないでよね理緒」
「思い出した方が勉強に身が入るってものでしょう?」
はいはいわかりましたよー、とブーたれながら和訳していく作業に戻る理緒。
それを見届け、私もまた和訳の戻ることにした。あ、ケンが店を追い出された。
せっつかれたので書きました。ノープランだから展開が全然思いつかない。今回もほとんど進んでませんよ。
さてさて、久しぶりの更新です。
いやー、最後に書いたのが夏だから、半年放置してたわけですね。
はい、もうちょい早く書きます。
いやー、最後に書いたのが夏だから、半年放置してたわけですね。
はい、もうちょい早く書きます。