放課後の部活は、私にとって一日の中の最重要事項である。
無論、部活自体が私にとっての最重要事項なのだが、いかんせん、こう、朝は……ねぇ?
というわけで、気合を入れて練習に取り組んでいるわけです。
放課後の練習は、主に三つのパートに分かれている。
一つ目は、朝にもやっているランニング、柔軟、筋トレの基礎。
二つ目は、スタートだったり、踏み切りだったり、ハードルの歩幅あわせだったり、種目ごとに自分の苦手だったり得意だったりすることの練習。
三つ目は、いわゆる実戦。記録を計って、今後の練習の課題なんかを見つけたり、前の記録と比べてモチベーションをあげたり。
たまに、この記録を計るときにビデオをとって、フォーム研究をしたりもする。
で、今はその三つ目。100メートルのタイム計測。
他の部活との兼ね合いで、一度に走れるのが5人までなのがちょっと大変。フィールドと長距離以外は、この時は見学だ。まぁ、軽い休憩みたいなものね。
もちろん、専用の舗装などされているわけもなく、レーンだってきつきつだ。
それでも、スターティングブロックは全員分あるし、ハードルも一年前に新品になった。
やっぱり、記録を残すってのは大事よね。
「はい、それじゃ次、用意して」
雅の声で、周りの子がスタート位置に向かっていく。それで自分の番が来たことを悟り、小走りにスタート位置に着いた。
練習後。
私は、何故か雅を後ろに乗せて、最寄り駅に向かって自転車を漕いでいた。
「……私の馬鹿。なんでチョキ出したかなぁ」
「日頃の行いってことでしょ」
ちくしょー、ぐうの音も出ねぇぜ。
部活終わりの火照った体を、風がゆっくりと冷ましてくれる。
この時期の、自転車のいいところの一つだ。自分が漕いでいなければ、より恩恵を受けることが出来るんだけど……。
「ねぇ結衣。ところでGWはどうするの?部活は休みだけど……」
少し聞くのをためらうような、それでも聞いておきたい、といった複雑な声で、雅が尋ねる。
そう、我らが陸上部は、GWの練習をしない。これは通例だ。
曰く、GWでこれまでの授業の予習を行い、余裕を持って中間テストに挑むため。そのため、逆にテスト期間中も普通に部活は行われる。
「ん?いつもどおり」
「……そう」
私の答えに、雅は落胆とも諦めともとれる溜息をついた。
「心配してくれるのはありがたいけど、まーしょーがないよ」
努めて明るく振舞っても、雅の返事は優れない。
自分でも言った通り、しょうがないのだ。こんなことで、雅が気に病む必要はないのに。
「気をつけてね?」
「うぃうぃ」
これ以上この話題を続ける意味もなかったし、続ける意思もなかった。
それから駅に着くまで、会話らしい会話はなかった。
無論、部活自体が私にとっての最重要事項なのだが、いかんせん、こう、朝は……ねぇ?
というわけで、気合を入れて練習に取り組んでいるわけです。
放課後の練習は、主に三つのパートに分かれている。
一つ目は、朝にもやっているランニング、柔軟、筋トレの基礎。
二つ目は、スタートだったり、踏み切りだったり、ハードルの歩幅あわせだったり、種目ごとに自分の苦手だったり得意だったりすることの練習。
三つ目は、いわゆる実戦。記録を計って、今後の練習の課題なんかを見つけたり、前の記録と比べてモチベーションをあげたり。
たまに、この記録を計るときにビデオをとって、フォーム研究をしたりもする。
で、今はその三つ目。100メートルのタイム計測。
他の部活との兼ね合いで、一度に走れるのが5人までなのがちょっと大変。フィールドと長距離以外は、この時は見学だ。まぁ、軽い休憩みたいなものね。
もちろん、専用の舗装などされているわけもなく、レーンだってきつきつだ。
それでも、スターティングブロックは全員分あるし、ハードルも一年前に新品になった。
やっぱり、記録を残すってのは大事よね。
「はい、それじゃ次、用意して」
雅の声で、周りの子がスタート位置に向かっていく。それで自分の番が来たことを悟り、小走りにスタート位置に着いた。
練習後。
私は、何故か雅を後ろに乗せて、最寄り駅に向かって自転車を漕いでいた。
「……私の馬鹿。なんでチョキ出したかなぁ」
「日頃の行いってことでしょ」
ちくしょー、ぐうの音も出ねぇぜ。
部活終わりの火照った体を、風がゆっくりと冷ましてくれる。
この時期の、自転車のいいところの一つだ。自分が漕いでいなければ、より恩恵を受けることが出来るんだけど……。
「ねぇ結衣。ところでGWはどうするの?部活は休みだけど……」
少し聞くのをためらうような、それでも聞いておきたい、といった複雑な声で、雅が尋ねる。
そう、我らが陸上部は、GWの練習をしない。これは通例だ。
曰く、GWでこれまでの授業の予習を行い、余裕を持って中間テストに挑むため。そのため、逆にテスト期間中も普通に部活は行われる。
「ん?いつもどおり」
「……そう」
私の答えに、雅は落胆とも諦めともとれる溜息をついた。
「心配してくれるのはありがたいけど、まーしょーがないよ」
努めて明るく振舞っても、雅の返事は優れない。
自分でも言った通り、しょうがないのだ。こんなことで、雅が気に病む必要はないのに。
「気をつけてね?」
「うぃうぃ」
これ以上この話題を続ける意味もなかったし、続ける意思もなかった。
それから駅に着くまで、会話らしい会話はなかった。
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