現在時刻は7時ぴったり。
この時期にもなると、この時間にはすっかり太陽も昇り、二月ほど前では考えられないほど過ごしやすい気候になっている。
それでも、やはり人影はまばらで、いるのは犬を連れて散歩をしている人か、足早に歩いていくサラリーマン、それと、私のような部活のある学生くらいのものだ。
勢いよく自転車を漕ぎ、ひたすらに学校を目指す。人通りも少ないから、スピードを多少出しても安心だ。
部活がない日はゆっくりと電車に乗って登校するのだが、いかんせん朝に弱い私は、春先はこうして必死に自転車を漕ぐことが恒例となっていた。
そもそも、ここが田舎だからいけないのだ。
電車を一本逃すと、次に来るのが30分後。駅から学校まで歩く時間を考えると、場合によっては自転車のほうが速いのだ。だからこそ、今もヒーヒー言いながら進んでいるわけなのだが。
私は自分で言うのもなんだが、結構ゆるい性格だ。
こうして普通に寝坊もするし、宿題なんかもしょっちゅう忘れる。たまに電車も乗り過ごす。
だから、本当は部活ものんびりとやりたいところなのだが、そうはできない理由があるのだ。
学校近くの公園を曲がる。これで、あとは学校まで一直線なのだが……。
「やっぱりいるのね……」
ここから見える校門。そこには、ジャージ姿の女子生徒が一人、仁王立ちで待ち構えていた。
私が女子生徒を確認したのと同時、女子生徒も私を確認したのか、表情がみるみる変わっていく。……言及はすまい。本人の名誉のためにも。
ただ、一言言わせてもらえるなら……絶対に今のあんたには近づきたくない。
自転車を漕ぐ足に力を込める。目的はひとつ。
――捕まる前に通過してやる!
加速した私の意図を正確に察知したのか、それともあらかじめ予測していたのか、女子生徒は校門に走り寄り……
「うそっ!?」
門を閉め始めた。
慌てて急ブレーキをかけ、門への衝突を避ける。
ギャギ、という何ともいえない金属音を立て、自転車はギリギリのところで止まってくれた。ふぅ、危ないところだった。
「おはよう、結衣」
訂正。今も危ないところ真っ最中ナウです。
顔はにこやかなのに、全然笑ってるように見えないのは一体どういったトリックなんですかね?そこまで口の端が吊りあがったら唇裂けるんじゃない?
あぁ、誰か助けて。
「お、おはようございます、雅様」
思いっきり動揺した声で、女子生徒――雅に挨拶を返す。
雅こと片山雅は、我らが陸上部の部長であり……
「副部長ともなると、こんな重役出勤が許されるようになるのね?」
私、広瀬結衣は、陸上部副部長という肩書きを持っていたりするわけだ。
一人で。
べ、別に寂しくなんかないんだからね!?
やばい、今が一番寂しさを感じる……orz
で、わざわざ名古屋まで行きましたよ。千種で「ちくさ」と読むのはおかしくないかい?普通「ちぐさ」じゃね?
だらだらと二時間半の適性検査。
正直危ない。アウトとかセーフとかいうレベルじゃない。ダウトってかんじ。
まぁ折角名古屋まで来たんだから、ということで久屋大通によりました。
東急ハンズで貢物を購入して、さらっと帰宅。
特にイベントなんか起きなかったよ。
べ、別に寂しくなんかないんだからね!?(大事なことなので二回言いました)
あー、これ受かってたらもうケイリンカンくらいしか受けるところがない。もとい受けようと思ってるところがない。
他は軒並みオワタ\(^o^)/
あれだ、時代が俺に追いついてないんだ。
そう思っていた時期が俺にもありましたorz
ホントニートにでもなろうか……
俺は資格を取ることが出来るのか?
そもそも、俺は卒業することが出来るのか!?
まー結論から言いますと、春秋共に週3、それぞれ2時間ずつって感じ?
資格なかったらゼミだけでもよろしいことになってましてよ。
うはwwwww勝ち組wwwwwwwwwwwww
あとは就職さえ決まればいうことないんだけどなぁ……。
あと、どうでもいいんですが、どうしてもケロちゃん風雨に負けずで落ちる。
リプ見てもだめだ。誰か助けて。
むずいなぁ……。
降ったり止んだりとうっとうしいのなんのって。
まぁ、春雨の後はだんだん暖かくなるので、ここは風情を楽しむのが吉なのでしょう。
で、今日は超掃除をしました。
大掃除じゃありません。『超』掃除です。
どの辺が超なのかと言うと。
身の回りのものが3割ほどなくなりました。
うん、すっきり広々。
てーか要らん講義のプリントとか既に終わったはずの免許の教習本とか捨てまくっただけなんですが。
それだけで身の回りの3割になるとか、どんだけモノ持ってないんだ私は……。
ついでに模様変えもはじめてみたりして、なんかもう何処に何が在るかサパーリな状態。
掃除は嫌い、というか、継続することが苦手なので、どうしても溜まりきった頃にバーっとやってしまう。
モノがどんどん減っていくのは在る意味快感だったりするんですがねぇ……。
まーおかげで机の上もだいぶ広々して、随分いい環境になったものですよ。
これで、色々作業がはかどるってものです。
決して、履歴書やらエントリーシートやらに行き詰ったから掃除を始めたわけではないです。ええ、違うんです。
ニコニコなんて見てないですってば。小麦粉さんの幻想入り新作とか知らないよ?
――春が来て、ずっと春だったらいいのに――
むしろ早く春こーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!
それは、よく晴れた春の出来事だった。
カーテン越しの朝日が、瞼を刺激する。
春眠暁を覚えずとはよく言ったもので、私も例に漏れず、布団の中で眠気と必死に格闘していた。
しかし、既に闘い始めてから5分が経過しているあたり、負けることは既に決定事項だ。情けない話ではあるが。ちなみに、目覚ましは30分ほど前に沈黙なさった。
まぁ、たまにはこんな日があってもいいだろう。どうせもうすぐゴールデンウィークだ。それがちょっとばかり早くなるだけ。
だから大丈夫なんだ、だいじょうぶなんだ……。
言い訳がいい感じに催眠効果をもたらし、そのまま眠りの淵へと……
Prrrrrrr!Prrrrrrr!
あと少し、というところで鳴り響く電子音。
未だにアナクロな目覚まし時計を使っている私の部屋で、こんな不愉快な音を立てるものはひとつしかない。
極力布団から身体を出さないようにして、憎き音源に手を伸ばす。
「はい、もしもし」
かけてくんなよ、という感情をなるべく出さないように……ちょっとは出てるけど、とりあえず携帯を手に取り、電話に出る。
「寝てたな」
声を聞いて、一気にベッドから跳ね起きた。
「いや、寝てませんよ?」
動揺しながらも、それを声に出さずに返事が出来た自分を褒めてあげたい。
「まー、寝てたら電話にも出れないからな。ときに、今が何時かわかっているかね?」
しかし、むこうも慣れたもので、私の言葉を聞き流しながしている。
ええ、わかっていますとも。あんたが何で電話をかけてきたのかも。
「今から10分で支度します、サー」
言葉と共に、ベッドから抜け出して着替え始める。こういうときオンフックは便利だ。
「それだと電車間に合わないんだけど?」
「大丈夫、私自転車で行くから」
「いや、理由になってないって。まさか電車より速く走れるわけないでしょ?」
「いいんだって、気分の問題よ」
それに、遅れるといっても朝練だ。ちょっとは大目に見てくれるだろう。……くれたらいいな。
よし、着替え終わり。ご飯は……当然ながら、諦めて。
「それじゃ、家出るから。あと、起こしてくれて一応ありがとう」
「一応が余計っていうか、やっぱり寝てたのね。早く来なさいよ」
電話を終え、携帯をポケットにしまう。
洗面台で顔を洗い、少々髪を整えて、これでおしまい。
家を出て、通学鞄をかごに、ドラムバックを肩にかけ、自転車にまたがる。
「それじゃ、行ってきます」
無人の家に呟き、勢いよく自転車を漕ぎ出す。
私、広瀬結衣の一日は、大体こうやって始まる。